サク読みブログ

趣味と育児と日常のキロク、福岡から。

かなしいおうさまおおいそがし(創作)

久々に過去の一次創作でも貼っていくか。

マルキョウです。

詩というか、童話というか、まあそんなところ。

注意:縦スクロール長いよ!!

 

かなしいおうさまおおいそがし

「かなしいおうさまおおいそがし」         録沢京
 

Milk Drop

 
大変だよ大変だ、おうさまのおくさま死んじゃった
 
道化師お城から飛び出して、往来めいっぱい騒ぎたてた。
 
おくさま午前にじ、ご臨終。おくさま天に召されました。
 
お医者と坊主が目を伏せて、おつきの者は頭垂れ
 
おうさま誰とも目が合わず、
 
かなしいおうさまおおいそがし
 
まずは国民に大告知。寝ている国民たたき起こし、
 
泣かない者には兵隊が、睨みを利かせてぎょろぎょろり。
 
寝不足の子供はぐずりだし、じいさんは入れ歯を探し出す
 
ほうぼうの国へも使者走り、眠気まなこで文返す
 
たくさんの花に包まれて、たくさんの涙に送られて、
 
おくさまはたくさん化粧され、たくさんたくさん飾られて
 
手も届かぬ高いとこへ、かみさまみたいに置かれてる。
 
かなしいおうさまおおいそがし
 
立派な葬式にしなければ。皆から惜しまれ送らねば。
 
でもそれは誰のため?
 
お写真どちらにいたしましょう、お召しはどちらにいたしましょう、
 
ご親族の席はどうしましょう、ご順番はどういたしましょう、
 
別れの言葉も、別れのお花も、
 
全て誰かが決めたもの
 
 
おうさまさすがおうさまだ
 
おくさま死んでもうろたえず、ご立派葬式終わらせた
 
だけどおうさまかなしくて、とてもとてもかなしくて
 
めっきりふさぎこんじゃった
 
お仕事普通にこなすけど
 
時折どこかにふらふらと
 
いってしまいそな目をしてる
 
実際コックが見たことにゃ
 
スプーンもったまま30分
 
ずっと止まってたって話だぜ
 
カウンセラーがすぐ呼ばれ、ふんふんふんふんうなずいて
 
「気分転換が必要です」それだけいって帰ってた。
 
 
みんなが心配顔だから、おうさまなにかせにゃならぬ
 
かなしいんだ、と大臣に、思い切って言ってみる
 
ではもう一度お別れの機会をもうけてみましょうか
 
いやそんなのもうたくさんだ
 
おくさまはお墓に埋められた
 
やはり気分転換です、王様お触れをだしましょう
 
またまた国民に大告知、王様笑わせられた者、すんごいご褒美与えると
 
みいんな城につめかけた
 
一番のりはあの道化師、へんてこけったいな顔をして、
 
   かなしいおうさまおいそがし、おくさま死んで暇もなく
 
   おうさま死んでもご自分の、葬式のこと考えてる
 
とんでもない歌うたってさ、一番のりでご退場。
 
他の芸人は踊ったり、面白いお話聞かせたり、
 
5分交代で次々に、めまぐるしくやってくる
 
おうさまどこか目がうつろ
 
おつきの兵士がぴくぴくと、笑いをこらえて立ってるの
 
ただぼんやりと眺めてた
 
ご褒美欲しさに芸人が、鼻息荒く名を名乗る
 
そんな元気うらやましく、ただただとにかくかなしくて
 
かなしいおうさまおおいそがし
 
芸人の芸を見るために、仕事を手早く終わらせて、
 
芸を見ながら食事をし、芸を見ながら歯磨きし、
 
はあああ、とため息すらつく間なく。
 
そんなある日に雨が降り、
 
ざんばらざんばら大雨で、ごんごろごんごろ雷も
 
芸人今日は来ないだろう、やれやれ門を閉めるかと、
 
門番が腰をあげた時、一人の男がやってきた
 
おうさま今日の芸人です。
 
こんな日までよくくるな、おうさま玉座に腰落とす
 
お前は何をする芸人だい?
 
――私は芸人じゃありません
 
では何をしにここに来た
 
――おうさまに仲直りさせたくて
 
珍しいことを言うやつだ
 
一体全体誰とだい?
 
――おうさまを包む悲しみと。
 
突然ふかふかまっしろの、ベッドがそこに運ばれた。
 
みょうな男がきたものだ、さては魔術師、ぺてん師か?
 
男は手まねき、おうさまに、なんとも不届者だこと
 
だけど、ふとんはまっしろで
 
確かにずっと寝不足の
 
おうさま突然眠くなり、ふらふらベッドに歩み寄る
 
おつきの兵士も、大臣も、食卓のポテトも眠くなり、
 
みいんなその場で眠っちゃった
 
 
最初は頭ががんがんし、
 
次に肩の力が抜けていき、
 
身体が布団に沈んでく。
 
おうさまそのまま夢の世界、
 
たくさんの芸人が通り過ぎ、
 
荘厳な葬式が空へ飛び、
 
少年時代にこっそりと、面倒みていた燕の子、
 
記憶のままにひからびて、
 
ナイフの扱い教わった、
 
おうさまのおとうさまも歳をとり、
 
背中を見せてお写真に。
 
色んな出会いと別れとが、
 
夢の中で過ぎていく
 
おうさまが手をとらえても、
 
最後まではつかめない
 
おうさま心にぽっかりと、
 
穴があいたよな気持ち
 
かなしいかなしいかなしくて
 
少年にもどったおうさまは
 
えんえーん、ええんえんと泣きだした。
 
海の中で泣きじゃくり、潮をたくさん飲み吐いて、
 
どこまでもどこまでも泣いていた
 
出会った頃のおくさまは
 
わかくてきれいできどってて
 
長く一緒にすごしたけど
 
おつきの者に葬式で、聞かされるまでおうさまは
 
おくさまが好きな花の名も、好きな歌も知らなくて
 
でももうおくさま土の下
 
何も聞くことはできなくて
 
見上げると海のうえに月
 
月のようなおくさまが
 
すこし目をふせて笑ってる
 
手をのばしても月遠く
 
思いつく限りの言葉をば、おうさま月にぶつけたよ
 
最後は言葉にならなくて、ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃもがいてた
 
 
はっと気付くとたくさんの目玉がおうさま眺めてた
 
おうさまなんと一週間ずうっとベッドで寝てたとさ。
 
大変だよ大変だ、あの世の淵まで行ってきた、おうさまやっと帰ってきた
 
道化師またもや往来を走り回って、騒いだよ
 
おうさまあくびをしてみると、のびたおヒゲが口入る
 
爪切り歯磨き、おひげそり、いやいやその前にお風呂です
 
おうさままたもやおおいそがし
 
だけどなんだかあたたかく
 
どこかくすぐったくもあり
 
それは多分一日の
 
終わりに必ず夜がきて
 
あの月がいつもおうさまを
 
見つめていると知ったから
 
 
おうさまいつもおおいそがし
 
きょうもいちにちおつかれさま。

補足

今年中に過去の一次創作をすべてこのブログにあげていくつもりなんですけど、間に合うかしら……ついつい毎日書きたいことがあるもので、貼り付け作業が進まない。

子ども生まれてからこのかた、ほとんどお話し書かなくてもよくなったので、もうこのままお話し書かなくなるのかもな。ちょっと寂しいけど。

ということで、過去作品をすべてさらすことで、自分の中で一回リセットしたい気持ちがあるんですよね。だからざくざくっと簡単にブログに貼っていくよー

 

おしまい。

 

SSL標準装備の無料メールフォーム作成・管理ツール | フォームメーラー